赤穂クリスタルブランの秋|夏の牡蠣を、かごの中で育てた半年

11月に入りました。坂越湾では、12月からの冬の牡蠣の出荷が近づいてきています。
その一方で、夏からこの秋まで、もうひとつの牡蠣の季節が続いてきました。坂越湾で育てている「赤穂クリスタルブラン」です。出荷は例年6月ごろから11月ごろまで。11月は、その季節の締めくくりにあたる月です。今回は、冬の牡蠣とはちがう育て方をしているこの牡蠣について、半年の季節をふり返りながらご紹介します。
夏から秋へ、もうひとつの牡蠣の季節
坂越湾の牡蠣というと、冬に出荷する殻付きの牡蠣を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれども私たちの海の仕事は、冬だけのものではありません。夏から秋にかけては、赤穂クリスタルブランを育て、出荷する季節です。
赤穂クリスタルブランは、夏から秋に出荷することを目指して育ててきた牡蠣です。この牡蠣ができるまでには、開発に8年をかけました。育て方を試し、海の様子を見ながら直していく。その積み重ねの先に、いまの赤穂クリスタルブランがあります。
育てているのは、冬の牡蠣と同じ坂越湾です。周りを山と島に囲まれた、波のおだやかな湾。同じ海のなかで、季節によって育てる牡蠣と育て方を変えているのが、私たちの一年です。
冬の牡蠣を出荷する季節が終わっても、海の仕事は止まりません。春が過ぎて夏が来ると、海の上の主役は赤穂クリスタルブランに入れ替わります。6月ごろから11月ごろまで、季節の牡蠣と向き合ってきた半年でした。

一つの殻に、一粒の種から
赤穂クリスタルブランの育て方で、まず冬の牡蠣とちがうのが、種のつけ方です。
冬の牡蠣は、ロープに吊るして、海のなかで育てます。いくつもの牡蠣が重なり合い、かたまりのようになって大きくなっていきます。
赤穂クリスタルブランは、「シングルシード」という方法で育てます。一つの殻に、一粒の幼生をつける方法です。牡蠣どうしがくっつかず、一つひとつが離れたまま育つので、それぞれの牡蠣が自分の形で大きくなっていきます。
育て始めるときの大きさは、およそ4mm。指先にのるほどの、とても小さな牡蠣です。そこから海のなかで、少しずつ殻を広げ、身をつけていきます。
一つの殻に一粒の種をつけて育てる方法は、冬の牡蠣の育て方とは、始まりの形からちがいます。小さな一粒が、出荷できる大きさの牡蠣になるまで。その時間を、海と一緒に見守っていきます。

かごの中で、波にゆられて育つ
シングルシードで育てる赤穂クリスタルブランは、ロープではなく、専用のかご(バスケット)に入れて育てます。これが「バスケット養殖」です。
かごに入れた牡蠣は、海のなかで波にゆられ、かごのなかで転がります。転がるたびに、牡蠣どうしがぶつかり合います。この刺激を受けながら育つことで、貝柱のしっかりとした牡蠣になる、と私たちは考えています。
牡蠣が大きくなるにつれて、かごのなかは少しずつ窮屈になっていきます。そこで、育ちに合わせて、かごを何度も入れ替えます。大きくなった牡蠣を、それに合ったかごへ移していく作業です。
また、海の水温や潮の流れを見ながら、かごを置く漁場を移すこともあります。同じ坂越湾のなかでも、場所によって海の様子はちがいます。牡蠣がその時期に過ごしやすい場所を選んで、かごを動かしていきます。
ロープに吊るして育てる冬の牡蠣にくらべると、手のかかる育て方です。それでも、かごを入れ替え、場所を移し、また海の様子を見る。その手間をくり返しながら、夏から秋の半年を過ごしてきました。
秋の海で、季節が入れ替わる
11月は、赤穂クリスタルブランの季節の終わりと、冬の牡蠣の季節のはじまりが重なる時期です。海の上の仕事も、少しずつ冬の形に入れ替わっていきます。
冬の牡蠣は、筏から吊るした「垂下式(すいかしき)」という方法で育てています。秋のあいだに、筏の牡蠣も冬の出荷に向けて育ってきました。坂越の冬の生かきは、12月初旬〜中旬からのお届けを予定しています。公式通販での生かきのご予約は、11月9日から受け付けを始めます。
海は一年じゅう、何かしらの牡蠣を育てています。季節ごとに主役が入れ替わりながら、同じ湾のなかで、次の季節の牡蠣が育っていく。その流れのなかに、私たちの毎日の仕事があります。
この季節の牡蠣
いまは、冬の生かきの出荷をひかえた時期です。坂越の冬の生かきは、12月初旬〜中旬からのお届けを予定しています。公式通販では、通年お届けしている生食用の冷凍むき牡蠣も、あわせてご覧いただけます。