選別の仕事|形を見て選び、殻の付着物を落とす

11月に入り、冬の出荷が少しずつ近づいてきました。坂越の生かきは、12月初旬〜中旬からのお届けを予定しています。筏の下で育った牡蠣は、冬の食卓に届くまでに、いくつもの手を通っていきます。
今回は、その途中にある「選別」の仕事のお話です。海から引き上げた牡蠣を、形を見て選び、殻についた付着物を落とす。地味に見えるかもしれませんが、冬の牡蠣を仕上げていくうえで欠かせない仕事です。
引き上げた牡蠣は、そのまま出荷しない
坂越の冬の牡蠣は、筏から縦に吊るして育てる「垂下式(すいかしき)」で育てています。育った牡蠣は、船で筏から引き上げます。けれども、引き上げた牡蠣をそのまま箱に詰めて出荷するわけではありません。
海のなかで過ごした牡蠣の殻には、海藻や小さな生き物がたくさんついています。ロープに吊るされているあいだに、牡蠣どうしがくっついて、かたまりになっていることもあります。牡蠣が育つ海は、牡蠣だけの海ではありません。同じ海で暮らす生き物たちも、牡蠣の殻を住みかにしているのです。
そこで、引き上げた牡蠣は、まず選別の作業に回します。殻付きの牡蠣は、コンベアの上で形の整ったものを選び、殻についた付着物を落とします。これが、今回ご紹介する「選別」の仕事です。
上の写真は、殻を洗う機械です。回る金網の筒のなかに牡蠣が入り、水を当てられながら転がっていきます。筒の外へ出てきた牡蠣は、殻の表面が洗われて、ひとつひとつの形が見えやすくなっています。

コンベアの上で、形を見て選ぶ
選別は、コンベアの上で行います。流れてくる牡蠣を見ながら、形の整ったものを選んでいきます。
写真は、作業台に牡蠣を広げて選り分けているところです。手袋をした手が、牡蠣をひとつずつ手に取り、形を確かめて分けていきます。同じ湾で、同じ筏から引き上げた牡蠣でも、殻の形はひとつひとつちがいます。平たいもの、ふくらみのあるもの、殻のふちがひらひらと広がったもの。選別は、その一つひとつに目を通していく仕事です。
機械で洗うことはできても、形を見て選ぶのは人の目と手です。たくさんの牡蠣が台に広がると、作業台の上は殻の色と形でいっぱいになります。そのなかから、手を止めずに選り分けていきます。
選別の作業では、殻についた付着物も落とします。海藻や小さな生き物、くっついた殻のかけらなどを取りのぞき、牡蠣を一つひとつの姿に整えていきます。殻をきれいにしておくことは、このあとの仕事にもつながっていきます。

選んだ牡蠣は、もう一度海へ
選別を終えた牡蠣は、すぐに出荷するのではありません。丸い専用のカゴに入れて、もう一度海へ戻します。これを「活かし込み(いかしこみ)」といいます。期間は、ひと潮(約14日間)以上です。
付着物を落とすときに、牡蠣の殻には刺激が加わります。殻に刺激を受けた牡蠣は、殻を直そうとして、身をふくらませます。選別と付着物の除去は、見た目を整えるためだけの作業ではなく、活かし込みにつながる大切なひと手間でもあります。活かし込みについては、次の回であらためてくわしくご紹介します。
活かし込みを終えた牡蠣は、あらためて水揚げします。山のように積んだ牡蠣は、コンベアで水洗いしながら坂越の加工場へ運びます。加工場で洗浄し、紫外線で殺菌した海水で22時間以上浄化してから、梱包して出荷します。
写真は、海水を張った水槽に沈めた、殻付きの牡蠣の籠です。加工場でも、牡蠣は海水とともに次の工程を待ちます。海で育ち、海に戻り、また海水のなかで仕上がっていく。牡蠣の仕事は、最後まで海の水といっしょに進んでいきます。
冬の牡蠣を仕上げる、見えないひと手間
食卓に届いた殻付きの牡蠣を見ても、選別の仕事はなかなか目に見えません。けれども、殻の形が整い、付着物が落とされた牡蠣の姿には、この作業の跡が残っています。
引き上げる、洗う、選ぶ、付着物を落とす、海へ戻す。冬の生かきは、そうした仕事を一つずつ重ねた先にあります。坂越の海で育てた牡蠣を、同じ坂越の地で選び、仕上げ、出荷する。養殖から出荷までを自分たちの手で続けているからこそ、選別のひと手間も、冬の牡蠣の一部になっています。
今季の牡蠣は、今のところ順調に育っています。次の回からも、冬の出荷に向けた仕事を、写真といっしょにご紹介していきます。
この季節の牡蠣
いまは、冬の出荷に向けて、筏の牡蠣を仕上げていく時期です。坂越の生かきは、12月初旬〜中旬からのお届けを予定しており、公式通販でのご予約は11月9日から受け付ける予定です。公式通販では、春に加工した冷凍むき牡蠣(生食用)を、一年を通してお届けしています。